熊本県インテリア設計士協会 1951-2018
Kumamotoken Interior Sekkeishi-Kyokai 1951-2018
2019年度より大分県インテリア設計士協会が引き継ぎました。


大分県インテリア設計士協会
Oitaken Interior Sekkeishi-Kyokai since 2018
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【家具デザインコンペ】

 第12回インテリア設計士の家具デザインコンペを開催しました。
 (2023年12月8日締め切り)

 [審査結果の公表]

第12回 インテリア設計士の家具デザインコンペ結果について
「ソーシャルグッドな家具」

             主催:OIS大分県インテリア設計士協会
               ((一社)日本インテリア設計士協会正会員)
             協賛:(一社)日本インテリア設計士協会・
                (公社)大分県建築士会 大分支部・
                JIA(公社)日本建築家協会 九州支部 大分地域会
             後援:日本インテリア学会 九州支部

1 審査経過
 大分県立鶴崎工業高等学校より21作品、日本文理大学より21作品、西日本工業大学より18作品、熊本県立熊本工業高等学校より9作品、福岡県立浮羽工業高等学校より4作品、近畿大学より3作品、大分県立芸術文化短期大学より2作品、日本デザイナー学院 九州校より2作品、宮崎県立都城工業高等学校より2作品、麻生建築&デザイン専門学校より1作品、熊本YMCA学院より1作品の応募をいただき、応募総数は84作品でした。
 昨年までの採点方法を踏襲し、年齢で部門を変えることはせず、すべての作品を同一の基準で審査しました。
〈第一次審査〉
 全作品について応募資格・応募条件を確認し、裏面にエントリーシートを貼り付けていない作品、A3横使いでない作品、人物の描かれていない作品を失格としました。失格は2作品ありました。
〈第二次審査〉
 OIS2名+JIA3名+建築士会3名=合計8名の審査員が5作品ずつを選び、第一印象度、デザイン力(アイデア、展開力)、表現力(図面効果、説明の分かりやすさ)について、それぞれ5点満点で合計25点満点として評価しました。
〈第三次審査〉
 審査員全員で合計点数順に作品を検討し、入選者を決定しました。

2 大分県インテリア設計士協会のコンペのねらい
 若い学生たちのインテリアへの関心を高めるため、熊本県インテリア設計士協会主催により7年間、大分県インテリア設計士協会主催により5年間、合計12年間連続でインテリア設計士の家具デザインコンペを開催してきました。九州においてこうしたコンペを開催することは、延いては地域のインテリア・空間デザイン・建築文化の発展につながると考えています。次年度以降も家具コンペを継続いたしますので、これからも各学校でデザイン教育に役立てていただき、積極的に取り組んでいただけますと幸いです。

3 入選作品


○最優秀賞 日本文理大学 建築学科 3年 赤岩 里紗
     「赤信号で、ひとやすみ」



【講評】
 ガードレールにベルトで板を引っかけてベンチにしようという、たいへんシンプルな提案です。題名のとおり、歩行者信号が赤の間に腰掛けてひと休みするのもよいでしょう。また何百メートルか毎に設置することで、通りかかった友人と話が弾んだり、ご近所のコミュニケーションに役立てていただいたり、待ち合わせ場所にもなることでしょう。何しろ仮設なので、不要になったら外してしまえばよい。ちょっとした工夫で街の風景が変わるという出色のアイデアに、審査員一同、全会一致で最優秀賞に推しました。


○優秀賞  日本文理大学 建築学科 3年 齋藤 志歩
     「かけひきだし」



【講評】
 衝突を避ける傾向にあるZ世代が、あまつさえコロナ禍の中で非対面でのコミュニケーションに慣れてしまい、新しい出会いや友人関係に対する不安を抱える若者が増えているのではないかという問題意識から、制作者は「かけひき」によって使いやすさを模索する家具を考案しました。モダニズムのパラダイムは、計画されない部分を減らそうとするあまり、宿命的に予定調和となりがちで曖昧さを嫌います。行き過ぎたモダニズムに一石を投じる制作者の姿勢が高く評価されました。

○優秀賞  大分県立芸術文化短期大学 専攻科造形専攻 1年 恒松 琴葉
     「寄りかかるカタチ」



【講評】
 立位のまま寄りかかって使用することのできる椅子です。具体的に電車やバスを待つ人に使っていただくことを想定して考案されており、利用者が次の行動へスムーズに移れるプロダクトデザインを目指しています。人体寸法のデータベースから若年層にとっても高齢層にとっても使いやすい、最適な形態を検討し、実際にモックアップを制作して機能性を実証している点が他の作品にはみられないユニークな手法であり、様々な面において高いクオリティをもつ意欲作です。

JIA賞  近畿大学 建築・デザイン学科 3年 吉岡 英雄
     「Bent free space」



【講評】
 JIA公益社団法人日本建築家協会 九州支部 大分地域会のご協賛により設定された「JIA賞」受賞作品です。
 アルミニウムの板材を切り抜いて折り曲げるだけという、至ってシンプルな発想による庇付きベンチのデザインですが、その効果はたいへん大きいのではないかと思われます。このベンチがまちなかに設置されることで、お弁当を食べたり、読書をしたり、雨宿り、少し腰掛けてちょっとしたおしゃべりなど、何気ない街の風景に賑わいが取り戻される可能性を感じさせます。ソーシャルディスタンスを取ることに慣れ、必要以上に離れてしまった人と人との距離感をもういちど縮めてくれるかもしれない、まさしくソーシャルグッドな家具といえます。

建築士会賞  麻生建築&デザイン専門学校 建築CAD科 2年 大村 虎鉄
     「PLUSPACE あなたの暮らしに+1」



【講評】
 公益社団法人大分県建築士会 大分支部のご協賛により設定された「建築士会賞」受賞作品です。
 テントのような膜構造の家具であり、膜の素材を工夫しテクスチャシートを挟み込むことでライフスタイルに合わせた空間そのものの変容を提案しています。構造体を工夫して換気システムについても検討している点は、家具というよりもむしろ建築的な発想であり、いわば建築と家具のあいだに成立した居場所のデザインと言えるのかもしれません。さらに、複数のユニットを連結していくことでパーソナルスペースの拡張を示唆しています。以上の点が総合的にみて"建築士会賞"に相応しいと評価されました。

○佳作   熊本YMCA学院 工業専門課程 建築科 2年 秋山 翔太郎
     「ロールチェア ~サステナブルな椅子〜」



      熊本県立熊本工業高校高等学校 インテリア科 3年 田上 愛姫
     「Ripple Tree」



      大分県立鶴崎工業高等学校 産業デザイン科 3年 池本 莉奈
     「Circle Bookshelf」



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Copyright (C) 2023 Oita-ken Interior Sekkeishi-Kyokai. All Rights Reserved. (写真:赤岩 里紗 氏 制作「赤信号で、ひとやすみ」)